マンションの間取りの基礎知識!理想的な間取り選びのポイントとは?

マンションの間取り

同じ広さでも間取りによって住み心地が異なるように、不動産の間取りは住みやすさを大きく左右します。
しかも、簡単に変更できませんので、間取り選びの失敗は後悔の原因になります。

「住んでからわかった」では遅いのです。

ここでは、間取り選びに欠かせない基礎知識と、知っておきたい重要ポイントをご紹介します。
見落としがちなポイントも詳しく解説しますので、マンションの購入やリノベーションを考えている方はぜひ参考にしてくださいね。

1. 「間取り」の基礎

物件を検討する際に、「間取り」の基礎を理解しておくことで、物件への理解が深まり、自分の生活にあったタイプの物件を選びやすくなります。まずは、間取りを表す際に使われる略語、記号や点線について紹介します。

1-1. 間取り図の略語

間取り図にはさまざまな略語が使われています。代表的なものをご紹介します。

D ダイニング(食堂)
K キッチン(台所)
L リビング(居間)
LDK リビング・ダイニング・キッチン(居間・食堂・台所が一つになった部屋)

※部屋の表記が「3LDK」であれば、「リビング、ダイニング、キッチンに加えて、居室が3部屋ある」という意味です。

S サービスルーム、納戸(窓がなく、建築基準法で居室として認められない部屋)
N サービスルーム、納戸(Sと同じ意味)
DEN 書斎(本来は穴倉という意味)

※「2SLDK」や「2LDK+N」の場合、「リビング、ダイニング、キッチン、居室2部屋に加えて、収納スペースとして使える“サービスルーム(納戸)”が1つある」という意味です。

CL クローゼット(収納スペース) ウォークインクローゼットならば「WIC」「WCL」等と表記されます。
WCL ウォークインクローゼット
UT ユーティリティ 「役に立つもの」という意味。主に浴室と隣接する洗濯機置き場や化粧洗面台などを示すことが多いです。
UB ユニットバス 防水性の高い素材を用いて天井・浴槽・床・壁などを成型した浴室です。近年の賃貸でよく使用されています
MB メーターボックス(電気、ガス、水道のメーターの収納スペース)
PS パイプスペース(水道管や下水管、ガス管などの配管が設置されているスペース)

S(納戸)、DEN(書斎)、PS(パイプスペース)など、いずれもよく出てくる表記ですが、意外と知らないという方も多いのではないでしょうか。
より知りたい方は、PDF間取り図の略語をご覧ください。

1-2. 見落としがちな記号や点線に注意

間取り図に載っているのはアルファベットだけではありません。
記号や点線が描かれていることがあります。つい見落としがちですが、それぞれ重要な意味を持っています。きちんと意味を知っておき、間取り図から部屋の情報を得るのに役立てましょう。

1-2-1.点線

下がり天井を意味します。下がり天井とは、梁やダクトが室内に張り出して、天井の一部が低くなっている部分のことです。

下がり天井があると、家具がうまく置けなくなることがあります。また、居室の真ん中付近にあると見栄えが悪いですし、照明が届きづらくなることもあります。注意して確認してくださいね。

1-2-2.点線で囲まれた四角形

どこに描かれているかによって意味が異なります。

  • キッチンにある場合、冷蔵庫置き場
  • 洗面所やバルコニーにある場合、洗濯機置き場
  • リビングにある場合、床暖房

を指します。

1-2-3.ドアのマーク(扇状)

ドアの周りに扇状の点線が描かれている場合は、ドアがその方向に開くことを示します。これを見れば、内開きか外開きかがわかります。扇形が2つ描かれていれば、両開きです。

基本的にドアは内開きが多いです。外開きは、開けたときに人にぶつかる危険があるからです。内側にドアを開く十分なスペースが取れないときに外開きが採用されます。

外開きのドアは開閉時に人の通行を阻害しないか、内開きのドアは狭すぎて出入りが不便にならないか、チェックしておくと良いでしょう。

2. 間取りの種類と特徴

はじめに基本的な間取りの種類と、どんな方がどの間取りに向いているのかをご紹介します。これを知っておくと、住んでからの暮らしが想像しやすくなります。間取り選びの失敗が減らせますので、マンションの間取りを検討している方はぜひお読みください。

2-1. 代表的なマンションの間取り

まずは間取りの代表的なパターンを3つご紹介します。

2-1-1. もっともオーソドックスな「田の字の間取り」は、日中留守が多いファミリーにおすすめ

田の字の間取り
出典:間取り図作成代行サービスのGMC|サンプル集

ファミリータイプのマンションで最もオーソドックスなのは「田の字」と呼ばれる間取りです。

これは、玄関から廊下がまっすぐ伸びていて、住戸の中央あたりに水回りが集まっている間取りです。

「田」という字のように、廊下と水回りで十字が作られ、4つの居室ができるため、その名がついています。

メリット

  • 玄関とバルコニーが外気に接するため、通風、採光が良い
  • 全住戸で水回りの位置が同じため、水回りの騒音問題が出にくい
デメリット

  • 共用廊下側の居室はプライバシーが確保しづらい
  • 共用廊下に面する窓を閉め切ると、風の通り道がなくなってしまう
  • 室内廊下が長くなるため、居室スペースが狭くなる
こんな方におすすめ

  • 風通しを重視する方
  • 割安な物件を探している方
  • 共用廊下側の居室で過ごす時間が少ない方(日中は留守が多い、リビング重視など)

2-1-2. リビングとプライベートゾーンを分けやすい「センターインの間取り」は、ゲストがよく来るファミリーにおすすめ

センターインの間取り
出典:間取り図作成代行サービスのGMC|サンプル集

次に、センターインの間取りを紹介します。

センターインという名のとおり、玄関が住戸の側面中央にあり、そこから左右に部屋が作られている間取りです。

メリット

  • バルコニーを両側に設置でき、通風や採光が良い
  • 室内廊下が短くて済むため居室スペースが広く取れる
  • リビングなど人が集まるパブリックゾーンと、寝室などプライベートゾーンが簡単に分けられる
デメリット

  • 物件価格、管理費、修繕積立金が高くなりがち
こんな方におすすめ

  • 自宅に人を招く機会が多い方
  • SOHOや、自宅で教室を開きたい方
  • 夫婦や家族で生活サイクルが異なる方

2-1-3. バルコニー側が広い「ワイドスパンの間取り」は、明るいリビングでくつろぎたいファミリーにおすすめ

続いてワイドスパンの間取りを紹介します。
ワイドスパンとはバルコニー側の間口が広い間取りです。

ワイドスパンの間取り
出典:間取り図作成代行サービスのGMC|サンプル集

共用廊下が屋内にあるタワーマンションなどで採用されることが多いです。

共用廊下が屋内にあると玄関側の通風や採光が期待できないため、それをカバーするためにワイドスパンの間取りが適しているのです。

メリット

  • バルコニー側の採光・通風が良い
  • 窓が広く開放感がある
  • バルコニーが広く使える
デメリット

  • 価格が高くなりがちである
  • 開口部が広いため、光熱費がかさむ
こんな方におすすめ

  • 採光や眺望を重視する方
  • リビング中心に家族のコミュニケーションをとりたい方

2-2. 間取りを左右するアクセス方式

次に、マンションのアクセス方式を解説します。

アクセス方式とは、建物のエントランスから各住戸への経路のことです。アクセス方式は間取りに大きな影響を与えますし、住み心地もかなり左右されるので、特徴を知っておきましょう。

代表的なアクセス方式は次の3つです。

3つのアクセス方式
出典:国土交通省「マンションの維持管理及びコミュニティに関する調査」

グレーの部分が共用廊下で、白い部分が各住戸です。縞模様の部分は階段を示しています。グレーに×印の四角い部分はエレベーターです。

それでは、順番に説明していきます。

2-2-1. シンプルな「片廊下型(外廊下型)」は、価格を抑えたい方におすすめ

片廊下型(外廊下型)
出典:国土交通省

マンションの規模や低層・高層を問わず、最も採用されているのが「片廊下型(外廊下型)」です。「田の字の間取り」とよく組み合わせられます。

建物の片側に共用廊下があります。共用廊下は外気に接しています。
そこに住戸の玄関が並び、反対側はバルコニーになります。そのため、風通しや採光が良いのがメリットです。
合理的に建築できるため、物件価格も抑えられます。

玄関やバルコニーが外から見えてしまうため、防犯性は高くありません。
しかし、死角が少ないため、立地条件によっては侵入者に狙われにくいともいわれます。

アクセス方式:片廊下型(外廊下型)
特徴 ・建物の片側に共用廊下
建物特徴 ・規模や低層・高層を問わず、幅広く採用されている
メリット ・風通しが良い
・採光が良い
・物件価格が抑えられる
デメリット ・共用廊下に面する部屋のプライバシーが損なわれやすい
・横風や雨が玄関先に吹き込んでくる
・外からの侵入を許しやすい
こんな方におすすめ ・風通しを気にする方
・採光を重視したい方
・割安な物件を探している方
よく組み合わせられる間取りタイプ 田の字型

2-2-2. 小さめマンションに多い「階段室型(2戸1型)」は、プライバシー重視の方におすすめ

階段室型(2戸1型)
出典:国土交通省

比較的小規模のマンションに多いのが「階段室型」です。1つの階段に対して各階2戸の住戸が配置されます。階段だけでなくエレベーターが設置されていると「2戸1型」と呼ばれます。

階段やエレベーターを利用する人が限られるため、プライバシーが確保しやすく、防犯性にも優れています。通風や採光も良好です。

戸数に対してエレベーターが多いため、物件価格や管理費、修繕積立金が高くなりがちです。物件の割安感よりも居住性を重視する方におすすめです。

階段室型のアクセス方式は「センターインの間取り」とよく組み合わせられます。

アクセス方式:階段室型(2戸1型)
特徴 ・1つの階段に対して各階2住戸
建物特徴 ・比較的低層の建物に多い
メリット ・風通しが良い
・採光が良い
・防犯性が高い
・プライバシーが確保しやすい
デメリット ・物件価格、管理費、修繕積立金が高め
こんな方におすすめ ・居住性を重視する方
よく組み合わせられる間取りタイプ センターイン型

2-2-3. ホテルライクな「中廊下型(内廊下型)」は、ハイクラス志向の方におすすめ

中廊下型(内廊下型)
出典:国土交通省

高級マンションやタワーマンションに多いのが「中廊下型」です。内廊下型とも呼ばれます。共用廊下が屋内に設けられているタイプのアクセス方式です。

共用廊下が屋内にあるため、建物の中に入りさえすれば悪天候でも快適です。玄関が外から丸見えにならないため、プライバシーが保たれやすい点も人気です。

ただし、風通しや採光は限定されます。また、廊下のカーペットや照明のメンテナンス費用がかかるため、物件価格・管理費・修繕積立金が高めになりがちです。

中廊下型のアクセス方式とよく組み合わせられるのは「ワイドスパンの間取り」です。

アクセス方式:中廊下型(内廊下型)
特徴 ・共用廊下が屋内
建物特徴 ・高級マンションやタワーマンションに多い
メリット ・廊下を歩くときに天候の影響を受けない
・共用廊下を歩く際の足音が気にならない
・ホテルライクな高級感がある
・プライバシーが確保しやすい
・外部から侵入しづらい
デメリット ・風通しが良くない
・採光面が少ない
・物件価格、管理費、修繕積立金が高め
・死角が多い
こんな方におすすめ ・高級感を重視する方
・プライバシーを確保したい方
よく組み合わせられる間取りタイプ ワイドスパン型

ここまでで代表的な間取りとアクセス方式を紹介しました。
好みやライフスタイルに合いそうな間取りはありましたか?

自分に合う間取りのパターンがわかったら、今度は室内の間取りについて考えていきましょう。

3. リビング、キッチン、収納の間取り

ここからは、生活の満足度に大きく関わるリビング、キッチン、収納について、間取りの種類とメリット・デメリットを解説します。選び方のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

3-1. 横長リビングvs縦長リビング

家族が長い時間を過ごすリビングは、間取りの中で最も重視したい部分でしょう。

リビングはその配置によって「横長」と「縦長」の2種類に分けられます。新築のマンションの場合、オプションとしてどちらかを選択できることもあります。

横長リビングと縦長リビング
出典:野村不動産【PROUD(プラウド)】

横長リビングはバルコニーがある窓に面して横長にリビングとダイニングを配置した形です。大きな窓に面するため、明るく開放感があり、最近人気が高まっています。

縦長リビングは、リビングとダイニングが縦に繋がっている間取りです。窓から見ると、リビングの奥にダイニングがあります。リビングの隣には窓に面する居室が並びます。

横長リビングと縦長リビングの特徴を比較してまとめたものがこちらです。

横長リビング 縦長リビング
メリット ・窓が大きいため、明るく開放感がある
・キッチンと窓が近いため、キッチンも明るい
・リビングとダイニングが左右に振り分けされているので、使い分けしやすい
・壁が多いため、家具が配置しやすい
・隣り合う居室の使い勝手が良い
・居室との仕切りを開けて、横長にも使える(引き戸やふすまの場合)
デメリット ・壁が少ないため、家具が配置しづらい
・窓のない居室ができる
・ダイニングとキッチンに自然光が届きにくい
・リビングとダイニングやキッチンとの境界が曖昧になりがち
この間取りが向く方 ・明るいリビングとダイニングを好む方
・家具が少ない方
・独立した居室が少なくても良い方
・家具が多い方
・居室を独立した部屋として使いたい方
注意すべきポイント ・窓のない居室の使い方(独立した部屋として使いづらい、エアコンがつかないケースも) ・居室との仕切りによって自由度が異なる
・梁がある場合、リフォームの支障になることも
“注意すべきポイント”

横長リビングでは、リビングの奥にある居室の使い方に悩みがちです。
この部屋には窓がなく、採光を確保するために、引き戸など開放できる間仕切りでリビングと区切られます。エアコンがつかないことも多く、独立した部屋としては使いづらいのです。

縦長リビングは、隣の居室との仕切りによって使い勝手が異なります。引き戸やふすまで区切られている場合、開放してリビングの一部のようにも使えます。壁で区切られる場合は部屋の独立性が高まります。

将来的に子ども部屋がいくつ必要なのか、リビング奥の居室はどのような使い方をするかなどを検討してから、横長・縦長どちらが合うかを決めると良いでしょう。

3-2. 対面キッチンvs壁付けキッチン

毎日使うキッチンの使い勝手は、家事の負担を大きく左右します。
代表的なキッチンの間取りについてその特徴を比較します。

キッチンのレイアウトは「対面キッチン」と「壁付けキッチン」に分けられます。対面キッチンはキッチンで作業をしているときにリビングやダイニングが見渡せるレイアウトです。壁付けキッチンは壁に向かってキッチンを配置したレイアウトです。

どんな方にどちらの間取りが向くのでしょうか?対面キッチンと壁付けキッチンの特徴をまとめたのが下の表です。

対面キッチン 壁付けキッチン
メリット ・料理や洗い物をしながら、家族の様子が見える
・調理中でもコミュニケーションが取りやすい
・キッチンが隠しやすい
・収納の量が比較的多い
・動線が単純で動きやすい
・限られた空間を有効に使うことができる
デメリット ・ダイニングまでの動線が限られる ・コミュニケーションが取りづらい
・キッチンが隠しにくく、生活感が出る
・収納の量が比較的少ない
この間取りが向く方 ・家族とのコミュニケーションを取りながら料理がしたい方
・来客が多い方
・料理に集中したい方
・整理整頓が得意な方
注意すべきポイント ・壁付けキッチンよりも広さが必要になる ・物件数が減っている
“注意すべきポイント”

対面キッチンでは、壁付けキッチンよりも広さが必要です。
壁付けキッチンからリフォームやリノベーションで対面キッチンに変更したい方は、十分なスペースがあるかを確認すると良いでしょう。

近年、壁付けキッチンは減少傾向にあります。壁付けキッチンにこだわる方は、根気よく探すか、中古マンションも視野に入れると良いでしょう。

リフォームを検討する際の費用について知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。

リフォーム費用の相場は?安く抑えるコツとリフォーム会社の選び方

3-3. ウォークインクローゼットvs壁面収納

収納の使い勝手も住みやすさに大きく影響するポイントです。使いやすい収納スペースを確保することが快適な暮らしに繋がります。クローゼットの特徴を知って、自分に合う収納を見つけましょう。

近年ではウォークインクローゼットが人気です。これはある程度の広さを持ち、人が中に入って出し入れができる収納スペースです。それに対し、部屋の壁面を利用して室内に設置するものは壁面クローゼットといいます。

両者の特徴をまとめたものがこちらの表です。

ウォークインクローゼット 壁面クローゼット
メリット ・スーツケースなど大型のものも収納しやすい
・衣類以外もまとめて収納しやすい
・人が通る空間が無い分、収納効率が良い
・衣類は一列に並ぶため選びやすい
デメリット ・人の動線の分、無駄な空間が生まれる
・衣類にホコリ対策が要る
・防虫剤が効きにくい
・換気しづらい
・扉の前に物が置けない
・大型のものは収納できない
この間取りが向く方 ・色々なものを一ヶ所に収納したい方 ・たくさんの洋服を収納したい方
・別に納戸などがあり、大型のものはそちらに収納できる方
注意すべきポイント ・照明器具や火災報知器の周りには物が置けない
・扉の幅が広めのもの
・折れ戸か引き戸かで使い勝手が変わる
・扉の色で部屋の印象が変わる
“注意すべきポイント”

ウォークインクローゼットを選ぶ場合には、照明が扉の近くか、動線の上にあるものを選びましょう。照明のすぐ下は熱くなるので、デッドスペースになりがちだからです。また、扉の幅が広いものがおすすめです。扉より大きいものは収納できないからです。

壁面クローゼットは、折れ戸か引き戸かで好みが分かれます。折れ戸は、全面を開放でき、衣類が選びやすいです。ただし、扉のスペースを空けておく必要があるため、居室が狭い場合には家具の配置に苦労するかもしれません。引き戸は居室が狭くても大丈夫です。

壁面クローゼットの場合、扉が壁のようになるので、色や素材で印象が変わります。間取り図ではわかりませんが、扉のデザインが部屋のイメージにマッチしているかは別途チェックしておくと良いでしょう。

4. マンションの間取り図の読み方

さて、ここからは「マンションの間取り図の読み方」をご紹介します。間取り図から多くの情報を読み取るためには必須の知識です。ぜひ読んで、活用してくださいね。

4-1. 部屋の方角別の特徴

間取り図には方位マークが記載されています。
方角によって明るさや暖かさが左右されます。リビングの向きによって、以下の特徴があります。

東向き
メリット ・朝日が入る
・午前中の日当たりが良い
・午前中に洗濯物を干せばよく乾く
デメリット ・午後は日が当たらない
・冬は日の出が遅いため、午前中の日当たりが減ってしまう
この間取りが向く方 ・朝型の方
・日中は出掛ける方
価格 やや高め
西向き
メリット ・午後の日当たりが良い
・洗濯物が乾きやすい
・冬は部屋の奥まで日が差すため、暖かい
デメリット ・午前中の日当たりが悪い
・夏の夕方は暑い
・家具や本が日焼けしやすい
この間取りが向く方 ・秋冬の暖房費を減らしたい方
・午前中の日当たりを気にしない方
・日当たりよりも間取りを重視する方
価格 やや低め
南向き
メリット ・日中の日照時間が長い
・洗濯物が乾きやすい
・昼間の照明が要らない
・暖かいため、秋冬の光熱費が抑えられる
デメリット ・物件価格が高めに設定される
・寝室や子供部屋が北向きになる
・夏は暑くなる
この間取りが向く方 ・昼間、家にいる時間が長い方
・秋冬の暖房費を減らしたい方
・自然光にこだわりたい方
・北向きの居室が出来ても構わない方
価格 高め
北向き
メリット ・物件価格が抑えられる
・日当たりによって室温が左右されにくい(特に夏)
・本や家具が日焼けしにくい
デメリット ・直接、日が差し込まないため、暗い
・湿気がこもりやすい
この間取りが向く方 ・日中あまり家にいない方
・家具や本の日焼けが気になる方
・日当たりよりも、間取りを重視する方
・物件価格を押さえたい方
価格 低め

どの向きにもメリットとデメリットがあります。日照にあまりこだわりがなければ、北向きの物件もお買い得です。

又、方角も大切ですが、窓の向こうにタウンがあるか、自然があるか、建物があるか等の眺望もあわせて確認することをおすすめします。写真だけではなく、できれば内覧で直接確認しましょう。

4-2. 間取り図を見て検討すべきポイント

そのほかに、間取り図を見て検討すべきポイントは以下のとおりです。

4-2-1. ゾーニング

住戸をいくつかのゾーンに分けることをゾーニングといいます。

  • パブリックゾーン:リビングなど人が集まるスペース
  • プライベートゾーン:寝室、子ども部屋など各自の個室
  • サービスゾーン:トイレ、浴室、キッチンなどは生活に欠かせない設備

間取り図を見て、それぞれのゾーンを確認しましょう。
一般的には、これらのゾーンがまとまっている方が使いやすいといわれます。
また、サービスゾーンは、パブリックゾーンからもプライベートゾーンからも近いところにあるのが理想です。

4-2-2. 動線

動線とは、家の中で人が移動する経路のことです。
一般的に、合理的で短いほど良い間取りとされます。

家事動線、生活動線、来客動線などがあります。実際に生活したときのことをイメージして、実際に線を引いてみると良いでしょう。

たとえば次のような動線を検討します。

朝の身支度
・起きる~トイレに行く~手を洗う~キッチンへ行く
・洗顔する~着替える~化粧をする

家事
・洗濯する~干す~アイロンをかける~たたむ~しまう
・料理をする~ダイニングに運ぶ~リビングでくつろぐ~後片付けをする

家で過ごす時間
・帰宅する~自室に行く~リビングに行く
・タオルを準備する~服を脱ぐ~汚れ物を収納する~入浴する~服を着る~自室へ行く

来客時
・お客様が来る~リビングに通す~お茶を出す~トイレに案内する

他にも思いつく限り描いてみて、不便なところや混雑するところがないか、家事の途中で無駄な移動がないか、来客時に見られたくないものを見られたり、家族が入浴しにくくなったりしないかなどをチェックしましょう。

4-2-3. 天井の高さ

室内の床から天井までの高さを「天井高」といいます。
天井高によって住まいの快適さが変わります。

建築基準法では天井高は2.1メートル以上と決められています。
しかし、これでは圧迫感が生じるので、実際には2.3~2.4メートルくらいのことが多いようです。2.5mくらいの天井高だと開放感があります。

間取り図には天井高が書いていないこともあります。現地を内覧できる場合は実際に計ってみると良いでしょう。

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5. リフォームしやすい間取り

マンションの間取りはリフォームやリノベーションなどで変更できます。

しかし、共用部分や、構造に関する部分は変更できません。
マンションを購入したい方は、リフォームで変更できない部分を知っておき、将来ライフスタイルが変わったときにも対応できる間取りを選ぶと良いでしょう。

5-1. 共用部分

マンションには共用部分と専有部分があります。共用部分は変更できません。

玄関ドアや窓のサッシは共有部分なので、たとえデザインや機能が気に入らなくても基本的に変更できません。

ただし、ドアの内側だけであれば色などを変更できることもあります。リフォームできる詳しい範囲はマンションの管理規約で定められています。

5-2. 床下や天井の構造

床下や天井の構造が水回りのリフォームに影響します。マンションの床下や天井裏には、給水・排水管や、換気用の配管が通っています。

コンクリートの床板や天井板と、部屋の床や天井の間にスペースを設け、そこに配管を通しているものを二重床、二重天井といいます。スペースがあるので、配管が比較的柔軟に移動できます。

これに対し、コンクリートの床板や天井板に直接フローリングや壁紙を貼って仕上げているものは直床、直天井といいます。

直床や直天井の場合、配管がコンクリート板を通っていることが多く、水回りの大きな移動は困難です。

リフォームやリノベーションを視野に入れる場合は、二重床、二重天井のマンションを選ぶと間取りの自由度が高いことを覚えておきましょう。

5-3. マンションの構造

マンションの構造にはラーメン構造と壁式構造があります。

ラーメン構造というのは梁と柱で建物を支える構造です。
梁と柱以外の壁は取り払えるので、間取りを大きく変えることが可能です。

壁式構造は、壁と床と天井が建物を支える構造です。
住戸内の壁が建物を支えているので、すべてを取り外すことはできません。大きな間取り変更は難しいでしょう。

まとめ

今回はマンションの間取り選びに役立つ知識として、次のことをお伝えしました。

  • マンションの代表的なマンションの間取りと、メリット、デメリット
  • 間取り図の読み方
  • 間取り図を見て検討すべきポイント
  • リフォームやリノベーションに向く間取りの特徴

マンションの間取りを選ぶ際に、知識を持っているのといないのとでは、選択の視点が変わってきます。ぜひ今回の記事を活かして、後悔しない間取り選びをしてくださいね。

この記事のポイント まとめ

1. 間取りの種類は?

マンションの間取りの種類には、以下のようなものがあります。

  • 田の字
  • センターイン
  • ワイドスパン

詳細は2章「 間取りの種類と特徴」をご覧ください。

2.自分に合った間取りの選び方が知りたい!

間取りを選ぶ際は、下記の利用シーン別にメリットでデメリットを比較し、検討することをお勧めします。

  • リビング
  • キッチン
  • 収納

詳細は3章「リビング、キッチン、収納の間取り」をご覧ください。

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