
賃貸経営は、効率よく収益を上げ、住む人に心地よく暮らしてもらえる住まいを提供することが、成功をつかみ取るための大切な要素です。そのためには、管理会社の選び方がポイントになります。
特に初めて賃貸経営をする方の中には、
「管理会社って何をしてくれるの?」
「どんなポイントで選べばよいのかわからない」
「管理を委託するといくらくらいかかるのだろう?」
と、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
まず、賃貸契約には主に3つの契約方法があります。
- じっくり長期で貸したい人は「普通借家契約」
- 転勤などで一時的に貸したいという人は「定期借家契約」
(リロケーションとも言います) - 空室の心配をなくしたい人に向けた「空室保証サービス」
(サブリースと言われることもあります)
また、自分の条件に合う管理会社を見つけるためには、複数の会社にまとめて資料を請求できるサイト「賃貸経営HOME4U」を利用し、各社のプランを比較することが大切です。
比較することで、どの管理会社の提案が自分の条件に最もマッチしていて、安心して任せられるパートナーになりそうなのかを見極めることができるからです。
そこで今回は、じっくり長期で貸したい人、一時期だけ期間限定で貸したい人、家賃保証で貸したい人、それぞれの賃貸経営を成功に導く管理会社の選び方をナビゲートします!
ぜひ最後までおつきあいください!
Contents
1. 一般的な「普通借家契約」で貸す場合の管理会社の選び方
まずは、特に期間を設けない、最も一般的な「普通借家契約」のケースを基本パターンとして紹介します。
1-1. 賃貸の管理業務
賃貸管理会社の業務内容は主に、
- 入居者募集と契約
- 入居管理(家賃の集金やクレーム対応など)
- 建物の管理(維持・保守など)
です。
これらすべてを行う管理会社もあれば、仲介、管理をそれぞれ専門で行っている会社もあります。物件の仲介から管理までをワンストップで任せる場合はすべてを行う会社にお願いするか、仲介専門の会社と管理専門の会社の2社を同時に利用することになります。
業務内容 | |||
---|---|---|---|
入居者募集と契約 | 入居管理 | 建物の管理 | |
仲介専門会社 | ○ | ─ | ─ |
仲介と管理を行う会社 | ○ | ○ | ○ |
管理専門会社 | ─ | ○ | ○ |
さらに、各業務には以下のような対応が含まれます。
(1)入居者募集と契約
- 入居者の募集・審査・契約締結
(2)入居管理
- 家賃、共益費などの徴収
- クレームの対応
- 契約の更新手続き
- 退去立ち会い、清算
- 退去時の室内リフォーム
(3)建物管理
- 共用部分の清掃・管理
- 建物や設備の保守・点検業務
こうして見ると、やらなければならないことがたくさん!…と、あらためて実感するのではないでしょうか。賃貸管理は入居者対応から建物管理まで多岐にわたり、オーナーが自ら行おうとすると多大な労力を要します。
こうした業務を管理会社に委託することで、さまざまな対応に時間や神経を費やさなくて済むため、多くのオーナーが利用するのです。
一方で、空室を埋め、賃料を得ることは、不動産経営の収入を支える根幹部分。賃貸経営のパートナーである管理会社は、信頼できる企業を選ぶことがとても重要です。
では、どのようなポイントに注意して管理会社を選べばよいのでしょうか。
1-2. 管理会社選びのポイント
ポイントは4つあります。ひとつひとつ紹介して行きます。
(1)収益に直結する「空室を埋める力」があるか?
仲介業務から委託する場合は、その会社の空室解消能力を見極めることが大きなポイントです。
まずは「どのような方法で募集をするのか」をヒアリングしておきましょう。
最近は、Webで部屋探しをする人も多いので、検索サイトに多くの物件情報を掲載しているかどうかは大切な判断材料となります。また、写真や間取りの見せ方など、物件の魅力を伝える努力をしているかという点にも、企業姿勢が表れます。
掲載されている写真が鮮明かどうか(「とりあえず撮った」という写真ではなく「きれいに見せよう」という意図が感じ取れるか)、チェックしてください。いかに早く空室を埋めるかは、収益に直結しますので、そのための努力をしてくれる会社であるかどうかは、しっかりと見極めたいところです。
(2)2か月以上にわたる家賃の滞納率が低いかどうか
家賃の滞納は賃貸経営のオーナーを悩ませる課題のひとつです。空室と同様、滞納が発生すると家賃収入がなくなるため、経営に大きな影響を及ぼします。スムーズに家賃を回収し、滞納があった場合には、速やかに適切な対応をすることを管理会社には求めたいものです。
賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」によると、家賃の月末での2か月以上滞納率(12ページ)は、全国平均で1.6~1.7%、首都圏では1.3~1.4%となっています。
出典:第15回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2015年10月~2016年3月
管理会社に2か月以上の滞納率を聞いて、この数字を上回るようだったら注意が必要かもしれません。なるべく2か月以上の滞納率が低い管理会社を選びましょう。
(3)賃貸物件でトラブルが発生した際の対応体制は万全か?
入居者に心地よく暮らしてもらい、長く契約を継続してもらうことも賃貸経営を成功させるコツ。
騒音や漏水などのトラブルへの対応を怠ると、入居者へのストレスへとつながり、退去や空室の発生へとつながるリスクがあります。管理会社では、トラブルが起きた場合の対応フローがあるはずです。万が一何かあった場合の対応体制についても確認しておきましょう。入居者からの問い合わせに対する応対可能時間や、管理スタッフの体制なども参考になります。
また、騒音などのトラブルは、入居者の心がけで防げるもの。事前に入居者には生活のルールを説明する「しおり」のようなものを作成して配布し、周辺に配慮する意識付けを行っている管理会社もあります。そういった努力はプラス要素として評価できそうですね。
(4)大手VS地元はどっちにもメリットあり
賃貸管理会社を選ぶ際に、大手の不動産会社と地元の不動産会社で、どちらに依頼するのがよいのか悩むオーナーさんも少なくありません。それぞれにメリット・デメリットがありますので、特長を把握して、自身の賃貸経営のスタイルに応じて選択することが大切です。
大手管理会社のメリット
サービスに安定感があり、入居者専用のコールセンターの設置や、外国人への対応も可能など、組織での総合的なサポート力があることが魅力です。会社員や自営業など、本業を持ちながら賃貸経営をする人には心強いでしょう。
地元管理会社のメリット
地域情報に強い、物件の状況が把握しやすい、トラブル時にも駆け付けやすい、契約に融通が利きやすいなど、臨機応変に動けるのが地元管理会社のメリットです。自分自身でも管理を学びたい人や、物件の状態を把握したい人に向いています。
1-3. 管理手数料は家賃収入の5%が目安
管理会社に管理業務を委託する場合の手数料は、一般的に家賃の5%が目安ですが、この手数料の中で行ってもらえる管理業務の範囲は管理会社により異なるケースもあり、「安価だからお得」とは一概には言えません。
オーナーとして、管理手数料の中でやってもらえる業務についても、きちんと確認するようにしましょう。
もし自分で物件管理をする場合には、家賃の集金や滞納、入居者のトラブルなど、時間を費やして対応しなければなりません。管理手数料を支払うことで、時間を失うことなく、さまざまな心配事を代行してもらえるのであれば、活用する価値は充分あります。
管理手数料と業務内容のバランスを比較して、納得できる管理会社を選ぶようにしてください。
2. 期間限定「定期借家契約」(リロケーション)で貸す場合の管理会社の選び方
賃貸経営には、期間限定で貸し出すという方法があります。
例えば、急な転勤や、親の介護で実家に戻るなど、空き家になる持ち家や分譲マンションを貸し出すケースです。誰も住んでいない家をそのままにしておくのはもったいないので賃貸に出して資産として活用したいが、いずれはまた戻って住みたいという人は少なくありません。
こうした定期借家契約(リロケーション)を専門に請け負う会社も数多くあります。
物件をリロケーションで賃貸に出す場合、管理会社はどのように選べばよいのでしょうか。
まず、リロケーションが通常の賃貸と違う点は、物件が思い入れのある持ち家というケースが多いことです。つまり、大事な家を丁寧に扱ってくれる管理会社が望ましいですよね。また、いずれは戻って住みたいという計画があるので、帰任時の条件もしっかり確認しておく必要があります。
では、具体的に詳しく確認していきましょう。
2-1. 「リロケーション」専門の管理業務
基本的には、リロケーションのケースも、通常の長期賃貸と同じように入居者募集から家賃回収、退去時の対応まで、ワンストップで委託することができます。
管理会社の業務例
- 入居者募集
- 家賃の回収
- 入居者のクレーム対応
- 修繕要望などの対応
- 定期巡回
- 納税代行
- 期間満了時の入居者との明け渡し処理
2-2. 管理会社選びのポイント
海外への転勤で遠くに転居する場合など、物件の管理を委託したあとは遠くから見守ることしかできません。最初にも触れたように、大切な持ち家を託す管理会社選びは、賃料収入だけでなく、良い借り手を探してくれて丁寧な管理を行ってくれるという点を重視することが大切です。
ポイントは4つあります。ひとつひとつ紹介して行きます。
(1)スピーディーに入居者を探すネットワークを持っているか
入居者が決定しないと、賃料収入は発生しません。転勤などのケースは早々に次の赴任先に転居するケースも多いため、物件は空き家になったけど、なかなか入居者が決まらないということではその間の賃料を損してしまうことになります。
入居者をどのような方法で募集するのか、平均的な決定スケジュールを確認しておきましょう。提携している不動産会社の数なども目安になります。
(2)管理物件数や取引実績は十分か
リロケーションは、専門的なノウハウが必要なため、どれくらいの実績を持っているかも、信頼できるかどうかを判断するポイントになります。
転勤者などが期限付きで自宅を賃貸住宅にできるという方法は、2000年に「定期借家権」が導入されたことで、可能になりました。導入からまだ歴史が浅いため、経験の浅い会社も多く存在します。
管理物件数や積み重ねられた取引実績数は、利用者からの一定の信頼を見る目安になるでしょう。
(3)良い借り手を見つける募集方法と審査体制になっているか
家は、住む人の暮らし方によって状態は変わり、場合によっては騒音問題などでご近所との関係にも影響することもあります。また、戻ってきて住むことを考えると、良い居住者に住んでほしいというのがオーナーの本音。
入居者についても、どのような募集方法で、賃料はいくらの設定にするかなどの条件を管理会社としっかり話し合い、審査基準についても確認しておくことが大切です。中には、法人と提携ルートなどを持っている会社もあります。
(4)急に戻ってくることになったら何か月前までに告知すればよいか
転勤などでリロケーションを利用する場合、任期が決まっていなかったり、また決まっていても会社の都合で予定していた期限よりも早く戻ってきたりするケースも珍しくありません。こうした、帰任時の対応についても確認しておく必要があります。
急に帰任したときに、契約期間満了の何か月前に申し出れば再び入居できるようになるのかを確認しておきましょう。
2-3. 管理手数料は毎月10%前後が目安
リロケーションサービスの毎月の管理料は、賃料の10%前後が目安です。そのほか、以下のような料金がかかります。
- 入居者を募集する着手金となる管理委託申込料(1万円前後 )
- 入居者決定後の契約時事務手数料(賃料の約1か月分)
- 保証料(賃料の約1か月分 )
- 毎年の更新料(賃料の約0.5か月分 )
管理会社によって料金も異なるので、複数の会社をサービス内容とともに比較して、納得のできる管理会社を選ぶようにしてください。
頼れるリロケーション専門会社の選び方は、「リロケーション会社選びで絶対に失敗したくない人必見!頼れる会社3選」の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
3. 空室保証の管理方法「サブリース」の管理会社の選び方
3-1. サブリース契約の特長とメリットは?
賃貸経営においては、空室が埋まるのかという大きな心配事があります。
この不安を解消すべく、家賃保証をしてくれる「サブリース」という管理方法があります。サブリース契約は、オーナーが所有する物件を管理会社が借り上げたうえで、入居者に転貸する賃貸方法です。
物件に空室があっても、オーナーには家賃収入が入るため、入居者が決まらないことでのリスクを負わずに済むというメリットがあります。
3-2. オーナーに入る賃料は家賃の80~90%
空室のリスクを負わない分、管理会社からオーナーに支払われる家賃は、通常の80~90%と、少し低く設定されます。また、入居者が支払う敷金や保証金・礼金もオーナーには支払われず、管理会社の収入になります。保証される賃料も世の中の状況によって見直されるケースも多く、引き下げになる可能性もあります。
直接入居者に貸し出す場合と比較すると、オーナーへの家賃収入は減額されるため、どちらが効率がよいかととらえるかは、経営スタイルによって判断が異なるかもしれません。他に仕事を持っているなど、管理を完全に委託して個人の時間を有効に使いたいというオーナーは、収支の比較をしたうえで検討してみるのも良いでしょう。
3-3. サブリース管理会社を選ぶポイント
空室解消力やトラブル対応力などを見るのは通常の賃貸と同様ですが、サブリースでの管理会社選びは、サービス内容や料金が妥当か、経営状況は良好かなどを見極め、選ぶことが大切です。
ポイントは3つあります。ひとつひとつ紹介して行きます。
(1)管理手数料が見合うか
サブリースでは、空室になっても賃料が保証される分、家賃収入は管理手数料を差し引いた額になります(相場よりも安くなります)。その金額が妥当であるかを冷静に判断することが必要です。
まずは、いくつかのサブリース会社にプランを出してもらい、「どうしてこの額なのか」を聞いてみましょう。具体的で納得性のある説明をしてくれる会社の方が、安心ですよね。
さらに、「サブリースにした場合」と「相場の家賃で直接賃貸した場合」の差額(管理手数料に相当する金額)が、管理会社のサービスに見合っているかを判断します。
できるだけ収益の見込める会社に委託することが理想ですが、しっかりした管理を行う企業なら管理手数料が少し高くてもお願いする価値があるという考え方もあるでしょう。
(2)管理会社の実績や経営状況は良好か
空室保証をするサブリースという契約は、管理会社にとってもリスクを伴う方法です。そのような中で、企業が適切な物件管理を行い、良好な経営を行っているかは、管理件数や年数などの実績もひとつの目安になります。
オーナーにとっての賃貸収入は管理会社から保証された家賃収入に頼ることになるため、管理会社の経営状況を把握することも大事なポイント。大企業の子会社であるケースは、親会社の経営状況もチェックしたいですね。
(3)賃料見直しの時期や条件を確認しよう
サブリース契約では、契約期間中に保証賃料が見直され、減額される可能性もあります。見直しの時期や条件など、契約内容もあらかじめ確認し、説明を受けておきましょう。
気になる条件が提示された場合、まずはじっくりと他社と比較検討することをおすすめします。そして、仮に家賃の減額があった場合と、相場の家賃で直接賃貸した場合との収支を比較して、目指す収益が見込めるかどうかを見極めることが大切です。
まとめ
賃貸経営においては、入居者対応や建物保守などを管理会社に委託するのが一般的です。
管理会社を決める際は、まずインターネットの一括サイトを利用して、複数の会社から見積もりやプランを取り寄せ、比較できる状態にしておきます。
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その上で、「管理会社選びのポイント」をしっかりと押さえて、安心して任せられる会社を選んでください。
管理会社は、賃貸経営をサポートしてくれる、大事なビジネスパートナー。良い会社を見極めることが、成功への第一歩となります。