家づくりにかかる費用をしっかり把握して予算オーバー回避!

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家づくりは、誰しもが経験することではありません。注文住宅は大きな買い物ですが、総額に対して定価があるわけではないので、はじめて家を建てる場合、何にどれだけの費用がかかるのかまったくわからないという方がほとんどではないでしょうか。

どうやって予算を決めたらよいのか、諸費用にはどのような費用が含まれているのか、最終的にどれくらいの金額になるのかなどは、あらかじめ知っておきたいですよね。

そこで今回は、費用の内訳、支払いのタイミングや予算オーバーしないために注意すべきポイントも含めて、家づくりにかかる全費用を網羅してご説明します。
お金まわりの疑問や心配事をクリアして、楽しみながら家づくりの計画を進めていただければと思います。

1.建築費だけではない家づくりにかかる費用

注文住宅の建築でありがちなのが、予算オーバーや思わぬ費用の発生による金銭的負担の増大です。

家づくりには、建物本体の工事費以外にも諸費用といわれるさまざまな費用が発生します。諸費用だけでトータル100万円以上になることもありますから、何も知らずに家づくりを進めてしまうと出費の多さにびっくりしてしまうかもしれません。
そのため、家づくりにかかる費用は「坪単価」や「建築費」だけで判断するのではなく、総費用で考える必要があるのです。

家づくりにかかる総費用の内訳(目安)は、以下のグラフのようになります。

2.建築工事費は大きく2つに分けられる

建物の建築工事にかかる費用は、大きく「本体工事費」「別途工事費(付帯工事費)」の2つに分類することができます。
それぞれの内訳について、説明していきます。

2-1.「本体工事費」には何が含まれる?

「本体工事費」とは家そのものをつくるためにかかる費用で、どれくらいの費用がかかるのか、ある程度想定しやすい部分でもあります。

例えば、基礎や柱、梁(はり)、床組みや屋根組みといった構造部分が挙げられます。そして、屋根や外壁、床、壁、天井などの板金工事や塗装工事左官工事、玄関ドアやサッシ(窓)、内部建具、キッチン、トイレ、システムバスなどの住宅設備、建物内部の配管や配線も含まれます。
これら工事費用に、専門企業や職人の手間代を加えたのが本体工事費です。

「坪単価」とは一般的に、この建物本体工事にかかる費用を延べ床面積の坪数で割った金額のことをいいます。

2-2.「別途工事費」は安くすむ場合と高くつく場合がある

建てる土地の条件やオプションをつけるかどうか等で金額が大きく前後するのが「別途工事費」です。これは、付帯工事費とも呼ばれています。
中身を見ていきましょう。

2-2-1.敷地の現況で変わる「別途工事費」

敷地の状態や周辺環境により、発生する別途工事費は金額が異なります。

まず、敷地内へ配線や配管を通すための屋外工事と、メーターや公共マスを設置してライフラインを使用できる状態にするための引き込み工事があります。
もともと住宅地ではない土地に家を建てる場合、工事費は数百万円に上ることもあります。
下水の通っていない地域なら、浄化槽設置工事が必要です。単独処理浄化槽で30万円程度、合併処理浄化槽なら100万~150万円程度が必要です。
また、地盤調査の結果、軟弱地盤と判定された場合は地盤改良を行います。坪2万円程度から5万円以上のものまで、費用は改良工事の方法によって異なります。

このほか、既存の建物がある場合は解体費用として坪4~5万円(木造の場合)がかかるでしょう。鉄骨や鉄筋コンクリート造の解体はもう少し割高になります。
傾斜地や高低差のある敷地であれば造成工事や擁壁工事特殊土木工事といった対策が必要です。さらに、前面道路が狭くダンプが入れない立地であれば、材料を手運びするための小運搬費がかかります。

このように、特殊な条件や立地であるほど費用がかかるといえるでしょう。

2-2-2.「別途工事費」の内訳は会社によって異なる

「別途工事費」は、本体工事以外に生じる必要な工事費用に加え、いわゆるオプション費用も含んでいます。

オプションには、造り付け家具、カーテンやブラインド、窓シャッターなどが含まれます。照明器具は必要最小限のものだけ本体工事に含み、追加分は別途扱いとなることが多いです。冷暖房空調は配管や配線は本体工事、機器本体は別途工事になります。また、庭に砂利やコンクリートを敷く、木を植える、塀や柵を立てるなどの外構(エクステリア)工事も別途工事に含まれます。

なくても住めるけれど、ないと困る。そして、希望を反映すればするほど金額がつり上がってしまうのが、別途工事費だといえます。

3.覚えておきたい諸費用のこと

ここまで建築工事にかかる費用についてご説明しましたが、次は家づくりにかかる諸費用についてです。
ハウスメーカーと契約したら、竣工して新居に住み始めるまでの数カ月間で数万~十数万円という出費が発生するため、現金は多めに準備しておいてください。

3-1.家づくりにかかる税金

家を建てると「不動産取得税」「固定資産税」「都市計画税」「印紙税」といった税金がかかります。

不動産取得税

「不動産取得税」の税額は固定資産評価額に3%の税率を掛けて算定され、家を建てて半年~1年半ほどの間に納税通知書が届きます。(住宅を新築した場合の床面積の要件を満たせば、軽減制度の適用が可能です。)

固定資産税

「固定資産税」は毎年1月1日時点での固定資産の所有者に対して課税されるもので、評価額(特例が適用される場合はさらに特例率を掛けた課税標準額)に1.4%の税率を掛けて算定されます。
不動産取得税と都市計画税の算定基準となります。固定資産税評価額は高性能、高品質な資材や設備ほど評点がアップし、税額も上がるため注意が必要です。

都市計画税

「都市計画税」は1月1日時点で市街化区域内に固定資産を有している場合に納める地方税で、固定資産税と一緒に課税されます。

印紙税

建築工事の請負についての契約書は印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」、住宅ローンを金融機関から借り入れる場合に締結される契約書は第1号文書「消費貸借に関する契約書」に該当します。
それぞれ、契約書に記載された内容および契約金額で定められた「印紙税」税額をおさめます。例えば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の工事請負契約や金銭消費貸借契約(金消契約)では、印紙税は2万円と定められており、さらに1万円分は軽減措置の対象となっています。

参考:
東京都主税局「不動産取得税
東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
国税庁タックスアンサー「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
国税庁タックスアンサー「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

3-2.登記関係でかかる費用

登記には、「登録免許税」と呼ばれる税金など、費用がかかります。

家を新築した場合、必要な登記は「建物表題登記」と「所有権保存登記」です。

所有権保存登記の税額は課税標準額に税率0.4%を掛けて算定しますが、住宅を新築した場合は0.15%の軽減税率が適用されます。また、住宅ローンの融資を受ける際には「抵当権設定登記」が必要となります。この場合の税率には0.1%の軽減税率が適用されます。

家の新築時の表示登記(不動産を特定するための建物表題登記)と古屋を解体して建て替える場合の滅失登記は、いずれも登録免許税はかかりません。

参考:国税庁タックスアンサー「No.7191 登録免許税の税額表

司法書士に登記を依頼する場合は司法書士報酬が必要です。以下の金額を目安としてください。

表示登記 8万円~10万円
保存登記 2万円~3万円
抵当権設定登記 3万円~5万円
滅失登記 3万円~4万円

境界確定が必要な場合は、土地家屋調査士に測量を依頼することになります。
土地の広さにもよりますが、境界確定の実費と土地家屋調査士の報酬として、少なくとも30万円程度の準備が必要でしょう。

3-3.住宅ローン関係費用

住宅ローンの融資を受ける際には、金利のほかにもさまざまな費用が発生します。
先述した金消契約の印紙税や抵当権設定登記にかかる費用のほか、以下のような諸費用があります。

  • 事務手数料
  • 保証料
  • 団体信用生命保険料
  • 火災保険料と地震保険料
  • つなぎ融資にかかる費用

それぞれご説明します。

3-3-1.事務手数料

事務手数料には「定率型」と「定額型」があります。
定率型の場合、借入額に2%程度の料率を掛けた金額が手数料となるため、2,000万円のローンを組むと事務手数料は40万円となります。
対して、定額型の場合は一律3~5万円程度に設定されていることが多く、選択するローンによって金額に大きな差が出る部分です。

3-3-2.保証料

2%程度の保証料率を設定している保証会社が多く、30年以上の返済期間の場合、100万円あたり2万円前後の保証料を支払うことになります。
保証料無料の金融機関もありますが、その場合は金利が高めに設定されていることが少なくありません。
金利や保証料を含めた総額を見て、どのローンが最も有利か判断する必要があるでしょう。

3-3-3.団体信用生命保険料

ローンの契約者が死亡したり、高度障害になった際にローン残金を返済してくれる保険で、ほとんどの住宅ローンではこれに加入することが必須条件となっています。

保険料は金利に上乗せとなるため、保険に加入しているという意識は薄いかもしれません。しかし、現在加入している生命保険と重複しないか・無駄がないかどうか、保障内容はしっかりと確認してください。

3-3-4.火災保険料と地震保険料

住宅ローンの多くは、火災保険への加入を契約の条件としています。
保険金額は、建物が損害を被った際、同等の建物を再建築するために必要な「再調達価額」を基準に算定されるのが一般的です。
保険料は、火災のみの補償であれば保険期間10年間で10~15万円程度となります。

ただし火災保険だけでは、地震などを原因とした火災による損害は補償されません。そこで、火災保険と地震保険にセットで加入する方が増えています。地震保険料は地域ごとに、地震リスクに応じた保険料率が定められています。

参考:損害保険料率算出機構「地震保険基準料率

なお、2006年をもって損害保険料控除が廃止され、地震保険料控除が創設されました。これは、1年間に支払った地震保険料に対し一定額を所得から控除できるものです。火災保険料は控除対象外ですので、ご注意ください。

3-3-5.つなぎ融資にかかる費用

住宅ローンの融資実行は、引き渡しと同時に行われます。しかし、注文住宅の場合は分譲住宅の購入とは違い、契約金、着手金、中間金と、引き渡しまで複数回に分けて支払いが発生します。
そこで、住宅ローンの融資実行までのつなぎ資金として利用するのが、つなぎ融資です。

つなぎ融資の金利は2~3%程度と水準が高く、住宅ローンとは別に諸費用が発生する場合もあります。また、返済は住宅ローンの融資実行と同時に行われます。
金融機関によってはつなぎ融資を扱っていないこともあるため、利用を希望する場合は事前につなぎ融資の有無や金利、諸費用について金融機関に確認しておいてください。

3-4.その他にかかる費用

このほか家づくりにかかる諸費用として挙げられるのが、地盤調査に関わる費用です。地盤調査は2000年の建築基準法改正により事実上義務化されました。

そして、建築確認・中間検査・竣工検査に必要な証紙代、給水装置引き込み費や浄化槽管理費などの負担金、地鎮祭や上棟式を行う場合はその費用も必要でしょう。これらを含め、自己資金として50万円ほど用意しておきたいところです。
引っ越し代や家具家電の新規購入代金、建て替え期間の仮住まい家賃も別途必要となります。

4.費用発生のタイミングに注意

工事費や諸費用は一度にまとめて出ていくわけではなく、工事のスケジュールに合わせ、数回に分かれて支払いが発生します。

支払いのおおまかなタイミングは以下を参考にしてください。

また、地盤改良工事や解体工事を請負工事に含まず別途発注する場合は、それぞれの工事が完了した時点で支払いが発生します。

5.予算オーバーしないために

家づくりにかかるおおまかな費用を把握いただいたところで、ここからは、家づくりで予算オーバーしないための4つの注意点をお伝えします。

  1. 目先の金額にとらわれない
  2. グレードアップが予算オーバーの元凶
  3. 分離発注や施主支給を検討する
  4. 予算設定はトータルで考える

それぞれ、見ていきましょう。

5-1.目先の金額にとらわれない

例えば、ハウスメーカー2社で提案を受けたとします。
それぞれの提示金額が、A社3,000万円、B社3,500万円だった場合、プランの内容が同程度であれば多くの方はA社を選ぶでしょう。
しかし、B社のプランでは全室にエアコン設置、キッチンのカップボードは造作、納戸には棚板の金額まできちんと含まれ、外構は砂利を敷いてフェンスも立て3,500万円のところ、A社のプランには別途工事の費用がまったく含まれていませんでした。
契約後にそのことに気付いて、別途工事の追加費用が結局600万円もかかってしまい、合計するとB社よりも高くなってしまった……なんてことも考えられます。

このように、表面的な金額にとらわれて後悔することのないよう、プランを提示されたらまず「書類の記載に含まれていない項目」がないかどうか、ハウスメーカーの担当者にきちんと確認してください。

5-2.グレードアップが予算オーバーの元凶

プランのチェック不足による予期しない追加費用に対して、わかっていてもついやってしまうのが仕様変更によるコストアップです。
住設メーカーのショールームへ行くと、グレードの高いものは標準品より何倍も良く見えるもので、気付くと十数万円分も追加してしまった、なんてことも。

グレードアップや追加工事が発生した時のために、当初の提示金額からどれだけ増減したのかがわかる一覧表をハウスメーカー側に作成してもらうと安心です。

5-3.分離発注や施主支給を検討する

別途工事の一部を、ハウスメーカーを通さず専門企業へ直接発注すると、中間マージンが省けコストをカットすることができます。

地盤改良や外構は、建築工事と時期が重ならないため分離発注に適しています。
また、エアコン工事は配管までを請負に含め、本体は自分で購入し、電気屋さんに設置を依頼することもあります。これが施主支給です。家具、カーテン、照明器具なども施主支給に適しています。
キッチンや洗面台は給排水工事をともなうことから、不具合が出た際に責任の所在についてトラブルになる場合があるため、施主支給はおすすめできません。

分離発注や施主支給にかかる費用は住宅ローンの対象外なので、ある程度の自己資金が必要です。

このほか、外構工事はせず、後から自分で木を植えたり砂利を敷いたりして仕上げていく、子供部屋は当面仕切らず広い一室として使う、家具はすべて既製品とするなど、可変性のあるプランが結果的にコストダウンにつながります。

5-4.予算設定はトータルで考える

土地から購入して家を建てる場合、まずは気に入った土地を購入し、それから家づくりの計画を進めるという方が多いでしょう。しかし、土地にお金をかけすぎて希望どおりの家が建てられなくなるというのはよくある話です。土地を購入してから家を建てる場合の予算計画には土地代も含め、総合的に考える必要があります。

ハウスメーカーの担当者に土地代や諸費用などすべて含めた予算計画書を作成してもらうと、何にどれだけ資金を使うことができるのかが一目でわかります。
設計事務所に設計を依頼する場合は、建築費の10%程度の設計監理料が発生しますから、これも忘れずに組み込んでください。
どうしても予算オーバーが心配な方は、資金計画を立てやすい分譲住宅の購入を検討するのも一案でしょう。

まとめ

建築工事にかかる費用は、建てる会社によって異なります。30坪の家を建てるのに1,500万円で済むこともあれば、3,000万円以上かかる場合もあります。
しかし、家づくりにどれだけお金をかけるかは予算や個人の好みの問題で、どちらが正解というわけではありません。

対して、諸費用はどこのハウスメーカーで建てても必ず発生するものであり、金額にそれほど大きく差が出ることはありません。

大切なのは、家づくりにかかる総額と支払いスケジュールをきちんと押さえておくことです。そうすれば予算オーバーで後悔したり、急な出費で慌てたりする心配もないでしょう。
まずは信頼のできるハウスメーカーに相談して、予算計画書を作ってもらうことから始めてください。

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