分譲マンションを貸すコツ|知っておきたい手順や貸すときの注意点とは?

【保存版】マンションを貸すための手順と注意点をやさしく解説

「住んでいるマンションを賃貸にすることはできる?」
「個人で家を貸すことはできる?」
分譲マンションを貸したいと考えるタイミングは転勤、海外赴任といったライフスタイルの変化など理由は様々。

例えば、転勤中にマンションを貸せば家賃収入も得られますし、家の管理もできることになります。

一方で、マンションを貸すということは賃貸業を行うことになるわけですから、ある程度、不動産の知識も必要です。

この記事では、マンションを貸すことを検討中の方に向けて、貸すための手順から知っておくべき基本事項について、わかりやすく紹介していきます。

1.分譲マンションを貸す手順

ここの章では「分譲マンションを貸すには何から始めたら良いのかわからない」を解決すべく、はじめての人でもわかりやすいように、手順を下記5つの工程に分けて解説します。

分譲マンションを貸す手順

1-1.不動産管理会社を探す

分譲マンションを貸す場合は、まず管理会社を決めることが必要です。管理会社さえ決めてしまえば、誰でもマンションを貸すことをスタートできます。

管理会社の業務は主に「入居者管理」と「入居者募集」の2つです。まず、入居者管理とは以下のような業務になります。

  • 賃料の集金と貸主への送金
  • 入居者からのクレーム対応
  • 賃貸借契約の締結業務
  • 家賃滞納時の督促
  • 退去時の原状回復の立会い

住宅の賃貸では、夜間でも入居者から「お湯が出ない」、「ウォシュレットが壊れた」等の突発的なクレームが入ることから、管理会社を入れた方が無難です。

また、万が一、家賃滞納が発生した場合、督促には専門的な知識が必要となりますが、管理会社は法的知識に基づき督促を行ってくれます。

次に、入居者募集とは以下のような業務です。

  • インターネット広告の掲示
  • 物件案内
  • 入居審査

管理会社は、入居者募集業務も行いますので、賃貸仲介が得意な不動産会社に管理を依頼すると、空室も少なくなります。

賃貸仲介が得意な管理会社を探すには、「賃貸経営 HOME4U(ホームフォーユー)」を利用すると便利です。

賃貸経営 HOME4U」は、運営元のNTTデータグループにより、厳正な審査を元に賃貸仲介が得意な管理会社だけが選ばれて登録されています。

貸し出したいマンションの所在地や間取りなどの簡単な項目を入力するだけで、対応可能な会社が自動的にピックアップされ、瞬時に優良な管理会社を見つけることができます。

賃料の提案、管理手数料、管理業務の細かな内容などは、各企業により異なるので、複数の管理会社にプラン請求を行い、しっかり比較してからどの会社にするか決定するのが失敗のない手順です。

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1-2.賃貸借契約の種類・条件を決める

マンションを貸す場合、賃貸借契約の種類を決めることが必要です。賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。両者の違いは、普通借家契約は更新ができる契約で、定期借家契約は更新ができない契約になります。

「普通借家契約」と「定期借家契約」

普通借家契約は借主の権利が強く守られており、借主から更新したい旨の希望があると、更新するのが原則です。もし、貸主側から更新拒絶をしたい場合には、正当事由と立ち退き料の両方が必要となるのが一般的です。

一旦、普通借家で貸してしまうと、自分の家を簡単に取り戻せなくなるという点が特徴です。

そのため、転勤等の期間限定でマンションを貸す場合は、確実にマンションを取り戻せる定期借家契約がおすすめです。
ただし、定期借家契約は借主にとって不利な契約であるため、賃料相場が低い(普通借家契約の50%~80%程度)というデメリットがあります。

また、契約の種類以外にも、マンションを貸すには以下のような入居条件を検討しておく必要があります。

  • ペットの可否
  • 喫煙の可否
  • 退去時の原状回復費用の範囲
  • 敷金、礼金
  • 保証人や保証会社を利用するか
  • 火災保険に加入してもらうかどうか

条件はオーナーが自由に決めることができますが、近隣の傾向も踏まえ、管理会社に相談しながら決めるのが一般的です。

1-3.相場に合わせて家賃を検討する

家賃は、近隣の相場に合わせて検討します。高い家賃だと収益性は上がりますが、周辺エリアの相場と比べて割高にしすぎると、入居者が見つかりにくく空室が続く原因になってしまうため注意が必要です。

同じエリアで築年数や間取り、設備等が近い物件を参考に考えましょう。近隣の相場は、賃貸情報を参考にすれば確認できます。

1-4.入居者を募集する

賃貸契約の方法や入居条件、家賃が決まれば、入居者の募集を始めます。多くの場合、この募集は管理会社のホームページや賃貸情報のポータルサイトなどを通じて行われます。

物件の掲載が始まったら、掲載されている写真は魅力的か、周辺環境など入居者の求めている情報がきちんと載っているか確認しておくとよいでしょう。

1-5.契約手続きを行う

募集を始め、入居希望が入ってきたら、入居希望者が内見をするのが一般的です。同時に、入居者の勤務先などの属性や保証人の確認などの審査を行います。

これらの内見や審査を経て、貸すことが決まったら、賃貸借契約を結びます。マンションを貸すのが初めての場合、こうした入居者の審査から契約までをスムーズに行うことは簡単ではありません。

不安な場合は、「賃貸経営HOME4U」をご活用いただき、実績のある管理会社を選ぶのがおすすめです。

2.分譲マンションを「貸す」と儲かる?

マンションを貸すとなると、気になるのは収益のこと。マンションを貸すと儲かるかは、所有する物件の相場と、家賃収支をシミュレーションするとイメージできます。
以下は2022年におけるマンションの賃料の平米単価と、この単価をもとに計算した、65平米のマンション一室を貸す場合の、首都圏の想定平均賃料です。

都道府県 65平米の平均賃料(万円) 平米単価(円/平米)
東京 19.6 3,056
埼玉 13.8 1,827
千葉 15.0 1,941
神奈川 16.0 2,276
大阪 13.6 1,974

参照:PDFレインズデータライブラリー 近畿レインズ

次に、年間の家賃収支のシミュレーションをしてみましょう。

年間の家賃収入のシミュレーション(60~70平米)

収入:216万円

  • 家賃: 18万円×12か月=216万円

支出:48万1,000円

  • 管理費・修繕積立金: 1万7000円×12か月=20万4,000円
  • 管理委託料:10万8,000円/年
  • 固定資産税・都市計画税:16万円/年
  • 火災保険料:9,000円/年

年間収支:216万円-48万1,000円=167万9,000円

修繕費を入れたとしても、年間の家賃収入はかなりの金額になりますね。

上記はあくまで一例ですが、自宅周辺の正確な賃料相場を知りたい場合は、「賃貸経営 HOME4U(ホームフォーユー)」を利用して賃料査定を依頼すると、ある程度の相場がつかめます。

3.分譲マンションを貸すメリット

家賃収入を得られる

賃貸にするからには、借主がいる限り継続的な家賃収入が不労所得で得られます

分譲マンションを所有していると発生する固定資産税などの支出も家賃収入から支払うことができるので、出費を抑えることができるのもメリットでしょう。

3-1.節税対策になる

マンションを貸して不動産所得が赤字となると、損益通算によって節税できるというメリットがあります。

損益通算とは、損失の出た所得を他の所得から控除して課税所得を求める確定申告の手続きのことです。

例えば、不動産所得が▲50万円で、給与所得が800万円だった場合、損益通算によって全所得が750万円となります。

会社では給与所得が800万円であることを前提に源泉徴収していますので、実際の所得が750万円であれば、税金は払い過ぎていたことになります。

よって、確定申告により払い過ぎていた税金の還付を受けることができます。ただし、普通にマンションが貸せれば、不動産所得が赤字になることはレアケースです。

損益通算による節税は、あくまでもその場しのぎ的なテクニックと捉えておいてください。

3-2.資産の価値を保てる

住んでいるときは意識することは少ないと思いますが、分譲マンションは資産のひとつです。

家は空き家になると傷むと言われています。

これは掃除や換気を行わないことで劣化し傷んでいくからです。賃貸としてマンションを貸し、住んでもらうことで換気もでき、定期的な掃除も行われ結果として家の劣化の予防にもなります。

家の状態が良いことは物件の価値にもつながります。資産を保持しつつ、劣化の予防もできるのは貸すメリットと言えるでしょう。

3-3.再び住むことができる

マンションを貸す予定はなかったけれど、転勤などやむを得ない事情で家を空けないといけない場合、売却してしまうと再び住むことはできません。

賃貸にしておけば、一定期間で貸すことができるので再び住むことができます。「いつかは住む」可能性や考えがあるのならば、選択肢を残して置くのもメリットでしょう。

4.分譲マンションを貸すのにかかる費用

マンションを貸すことによって発生する費用は以下のとおりです。手数料やリフォームなどにかかる費用のほか、マンションを売却して手放すわけではないため、各種税金やマンションの管理費、修繕積立金も支払いが必要となります。

種類 内容 相場
費用 仲介手数料 賃貸契約が成立した際に不動産会社へ支払う報酬 家賃の半額~1か月分程度
管理委託料 管理を委任する場合の費用 家賃の5~15%
リフォーム費・原状回復費 退去後、次の入居者が入るまでにかかる費用
マンション管理費 マンションの共用部分の日々の維持・管理のために使うお金 家賃とあわせて入居者負担とする場合も
修繕積立金 マンションの修繕のため積み立てる費用
税金 固定資産税 不動産を保有しているオーナーに対して課税される税金 税率は固定資産価格の1.4%
都市計画税 都市部ではない方には、都市計画税はかかりません。 税率は固定資産価格の0.3%
所得税・住民税 家を貸して発生した所得に対してかかる税金 所得額により異なる

マンションを貸すことによってかかる費用を考えた結果、家賃とのバランスによっては手残りが少なくなってしまうこともあります。そのため、収支のシミュレーションは事前に行っておくことが必要です。

また、ローンが終わっていない場合にはその支払いが別途必要となることも押さえておきましょう。

これらの内見や審査を経て、貸すことが決まったら、賃貸借契約を結びます。マンションを貸すのが初めての場合、こうした入居者の審査から契約までをスムーズに行うことは簡単ではありません。

不安な場合は、「賃貸経営HOME4U」をご活用いただき、実績のある管理会社を選ぶのがおすすめです。

5.分譲マンションを貸すときの注意点

マンションを貸すことはメリットだけではなく、デメリットもあります。どういった点がデメリットで注意したがほうがよいのかをまとめました。

5-1.入退去時の物件確認をしっかりと行う

マンションを貸すときは、入退去時の物件確認をしっかりと行うことが重要です。
マンションに限らず、賃貸経営で最も多いトラブルは原状回復に関するものになっています。

原状回復とは、借主が物件を入居した時点の状態に戻して返すことです。ただし、完璧に元通りに戻すという意味ではなく、借主の責任によって生じた汚れや傷を戻すという意味になります。経年変化(年月と共に生じる物質の変化のこと)や通常損耗(日常生活で生じる汚れや傷)は原状回復の対象とはなりません。

原状回復の対象になるものとならないものを例示すると以下の通りです。

原状回復の対象となるもの 原状回復の対象とならないもの
  • タバコによる畳の焼け焦げ
  • 引っ越し作業で生じた引っかき傷
  • 借主が結露を放置したことで生じたシミやカビ
  • 壁に貼ったポスターや絵画の跡
  • 家具の設置によるカーペットの凹み
  • 日照等による畳やクロスの変色
  • 画鋲の穴

原状回復では、元々あった傷までを借主に修繕を要求するようなケースでトラブルになります。例えば、床のキズが「元々あったもの」なのか、「借主が傷付けたもの」なのかによって原状回復の対象となるかどうかが変わります。

大切なマイホームですので、物件を傷付けられたくない人も多いと思います。傷付けられたら、しっかりと原状回復を請求できるよう、貸出時点の状態を細かく写真に撮っておきましょう。

5-2.住宅ローン返済中の物件は銀行の承諾を得る

住宅ローン返済中のマンションをを貸す場合、銀行の承諾を得ることが必要です。住宅ローンを借りる際、銀行と契約した金銭消費貸借契約では、資金使途が定められています。

資金使途とは、貸したお金の使い道のことです。住宅ローンの資金使途は自宅の購入となっており、投資物件の購入ではありません。

もし、住宅ローンを借りて購入した自宅を他人に貸した場合、投資物件の購入と同じことを行うわけですから、資金使途違反となってしまいます。そのため、住宅ローンを返済中のマンションは他人に貸すことができないのが原則です。

しかしながら、社命による転勤等は「必要やむを得ない事情」と判断してくれることが多いため、転勤期間中であれば多くの銀行も貸し出すことを認めてくれます。転勤中の賃貸は認めてもらえる可能性が高いことから、必ず事前に銀行の了承を得てから貸し出すようにしてください。

なお、単純に賃料収入を得たいだけの場合には、銀行はマンションを貸すことを認めないのが一般的です。家賃収入を得るために貸す場合、銀行から金利が高い不動産投資ローンへの借り換えを求められることがあります。

よって、単純に賃料収入を得たいだけの場合には、住宅ローン完済後に貸すのが適切です。

5-3.賃貸人としての修繕義務が発生する

マンションを貸すと、賃貸人としての修繕義務が発生します。借主がわざと壊したものでない限り、貸主が修繕することになります。

特に築10年以上のマンションは、既に設備の老朽化が進んでいますので、修繕費が発生する可能性が高くなります。

5-4.住宅ローン控除の再開が1年遅れる

マンションから家族全員で引っ越すと、その間は貸すか否かにかかわらず住宅ローン控除は利用できません。

住宅ローン控除とは「返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間にわたり、所定の額が所得税から控除される制度」です。転勤中に貸さない場合は、再入居した年から住宅ローン控除を再開することができます。

しかしながら、転勤中に家を貸してしまうと、住宅ローン控除の再開が再入居の翌年からとなってしまいます。貸すことで、住宅ローン控除の再開が1年遅れるという点は、あらかじめ知っておきましょう。

5-5.確定申告が必要となる

マンションを貸した場合、毎年、不動産所得を計算し、確定申告をしなければならないので手間がかかるという点がデメリットです。

マンションを貸したときの所得が不動産所得と呼ばれます。不動産所得の計算式は以下の通りです。

不動産所得 = 収入金額 - 必要経費

収入金額とは家を貸した時に入ってくる家賃です。
必要経費とは「土地と建物の固定資産税及び都市計画税、建物の保険料、修繕費、建物の減価償却費等」のことです。
サラリーマンであっても、年間20万円超の給与所得以外の所得が生じる場合には、確定申告が必要ですのでお忘れなく。

まとめ

青空とマンション外観
分譲マンションを貸すための手順と知っておきたい基礎知識をお伝えしてきました。分譲マンションを貸すことのメリットとしては、家賃収入が入る、自然と管理もできる等があります。

一方で、デメリットとしては、賃貸人としての修繕義務が発生し、確定申告も必要となるという点です。分譲マンションを貸す手順の中では、管理会社を決めることが一番のポイントとなります。

賃料の提案、管理の手数料、業務内容の詳細は各企業で異なるので、必ず複数の管理会社を比較するようにしましょう。

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皆さんのマンションがスムーズに理想の賃料で貸し出せるよう、願っています。